「関口弘呂子のうつし絵展・8」後書き。

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えー、先日、演奏させてもらった「関口弘呂子のうつし絵展・8」ですが、場所が、大宮第二公園内のギャラリーという事もあり、公園を散歩している人が、たまたま立ち寄ってくれたケースが多かったんです。

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その中に二人ほど、心に残っている方がいます。

一人は、年配の女性で、たまたま公園を散歩してたら、私が弾いてた「ふるさと」や「荒城の月」が聴こえてきて、何をやってるんだろうと思って、会場に入ってみたんだそうです。彼女は、CDを買いたいという事で、私に話しかけてくれたのですが、病気で手術してから声が出なくなってしまったそうで、確かに声は、かなりしわがれていました。

小さい頃から歌が大好きで、本当は、今もコーラス隊とかに入って歌いたいんだけど、こんな声では、皆に迷惑が掛かるので、やっていないんだと言っていました。好きな歌も歌えないし、日中これといってやる事もないので、暇つぶしのために、毎日公園を散歩しているのだそうです。

そんな事を、しわがれた声で一生懸命説明してくれるのですが、瞳は輝いていました。私が弾いてた古い曲は、昔よく歌ってたそうで、懐かしくて嬉しくなったんだそうです。

私の拙いギターで、一時的にでもこの方に喜んでいただいたのであれば、私にとっても、この上なく幸せな時間でした。

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もう一人は、50代くらいの男性でした。

彼も、たまたま公園を散歩していて、かなり遠くにいたらしいのですが、私のギターが風に乗って聴こえてきたらしく、その音を頼りに、ふらふらと歩いてたどり着いたのだそうです。

彼も、CDを買いたいと話しかけてくれたのですが、聞くところによると、ギターを作っていたそうなんです。かなり前らしいんですが、河野ギター製作所という所で働いていたそうです。河野ギターといえば、私も聞いた事があります。アメリカ、ヨーロッパ等でも多くの演奏家が使用しており、世界第一級のクラシックギターを作っている会社です。

しかしながら、今は働いてないということだったので、定年でもあって引退したのかと思っていたら、実は、耳が聞こえなくなる病気になってしまい、辞めてしまったとの事。何度も手術をしたそうですが、結局治らなかったんだそうです。

えっ、でも、私のギターの音が聴こえてきて、ここに来てくれたんじゃないの? 私はそう思ったので、聞いてみました。

彼が言うには、何故か、聴こえたんだそうです。

補聴器とかしてるようにも見えません。確かに、はっきりとは聴こえないんだそうですが、ギターだという認識はあったようです。それで懐かしくなって、私に声をかけてくれたみたいです。もう何十年も音楽を聴いてないらしいのですが、今回の件で、何とか私のCDを聴いてみたいという事で、お買い上げくださいました。

公園には、このように、いろんな人が来ています。私も、2年前療養中の時は、毎日、近所の梅ヶ丘公園をグルグル回っていた事を思い出しました。

正直、大宮第二公園ギャラリーで、展覧会をしたり、演奏したりしても、立地の不便さもあり、それほど多くの来場者が見込めるわけでもありません。しかしながら、今回のうつし絵師の関口さんも、私も、この場所が好きなんですよね。関口さんの絵も、公園を散歩してる人達に、安らぎを与えているのは、私も強く感じました。

それと、CDや、ポストカード類の物販を置いておくのも、声をかけてもらうきっかけになるんだなと気づきました。

「なんで、こんな場所でやってるの? もっと街中でやればいいのに」と、おっしゃってくれる方が多いのですが、それは、こういう理由からなんですよ。

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