佐村河内さんの曲は別人の作。

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えー、今朝、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

このブログでも紹介した事のある、両耳が聞こえない作曲家として知られる、佐村河内守さんの作曲した主なものは、別人が作ったものだそうです。

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私的には、全然非難する気などなく、むしろ彼の知名度におどらされていた人達(私も含む)が、少々あわれに思えています。

彼にもいろいろ事情があったのでしょう。生きて行くには、奇麗ごとで済まされない場面も多々あると思います。本人も「決して言い訳のできないことと深く反省している」との事ですので、今後の活動に期待、というか、静かに見守っていきたいと思います(なんか上から目線?)。

で、なんでこんな事を取り上げたかと言うと、人間の耳なんて、先入観にだいぶ影響されるという事を言いたかったんです。

例えば、まったく同じ演奏をしても(現実にはありえませんが)、知名度のある人の演奏と、まったく知名度の無い人の演奏では、聴いてる人の先入観の差で、優劣または、違いが付けられてしまう事があると思うんです。

昨日も、ある歌番組に出ている歌手を観て思ったのですが、これがNHKホールでなく、場末のスナックで聴いたら、おそらく聞き耳も立てないような曲、詩、歌でした。別のベテラン歌手の歌も、アマチュアバンドコンテストなんかで聴いたら、間違いなく落選するような歌、パフォーマンスでした。しかし、彼らは、NHKで歌ってるという事実と、知名度があるというバックボーンに支えられて、一般の観衆からは、「凄い人」として崇められるわけです。

ギターの聴き比べでもそうでした。

以前、町田のギター愛好家のイベントで行われた、マーチンのブラインドテストに参加したことがありますが、かなりマニアックで、何百本も弾いてきている私でさせも、「マホガニー」と「ローズウッド」の音の違いがわからないのです。一般に「マホガニー」は、柔らかめな音、「ローズウッド」は、煌びやかな音、というイメージが定着していますが、弾き手によって音質がだいぶ左右されます。

しかし、これは「マホガニー」のギターです、と先に言われてから試聴すると、「ああ、マホガニーらしい野太い音だよな」とか思ったり、「ローズウッド」のギターですと言われれば、「ああ、重厚なローズウッドらしい繊細な音だね」なんて思ったりします。

人間の耳なんてそんなもんです。よっぽど耳のいい方を除けば、先入観というか、脳がどう意識して聴くかによって、聴こえ方、解釈の違いに影響すると思います。

ここで冒頭の佐村河内さんの話に戻ります。

代表曲「交響曲第1番 HIROSHIMA」は、全ての聴力を失う絶望を経て、作曲家、佐村河内守さんが作った『人類のあらゆる苦しみと闇、そして祈りと希望を描く、現代に生まれた奇跡のシンフォニー』と称され、東日本大震災に関連づけてプロモーションされ大ヒットします。

もちろん、曲、演奏自体は、聴衆の心を打つものだったと思います(正直、私はよくわかりませんでしたが)、しかし、音楽を聴く前に、先入観に汚染され過ぎてはいないか、誇大なプロモーションに踊らされてはいないか、と警戒する事も、音楽人として重要な事ではないかと思ったしだいでした。

佐村河内守:交響曲第1番 HIROSHIMA
佐村河内守
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