イン・メモリアム~武満徹ギター作品集 福田進一。

聴かずに死ねるかっ!(CD紹介)

えー、かなり前に買ったCDですが、最近よく寝る時かけてます。あ、「よく寝れる」という意味ではないですよ。なんか安心して寝れるって感じです。

イン・メモリアム~武満徹ギター作品集 福田進一
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武満徹氏のギター作品は、前衛音楽とか、現代音楽とか、そういうものばっかりだと思っていたら、そうでもないんですね。頭から3曲は、まさにそんな感じなのですが、一応そこも押さえておきたいので、そういう意味では、武満徹入門としては最適かなと思います。

前衛っぽい曲って、一見(一聴?)デタラメに弾いてるようですが、デタラメに弾くのも難しいもんですよ。ある程度考えて弾かないとデタラメに聴こえないというか… 私も時々ふざけて前衛音楽っぽく弾く時あるんですけど、30秒くらいしか持ちませんね。あとは、ネタ切れするか、普通のコードや、妙に奇麗なフレーズが出て「しまったっ!」ってなっちゃいます(笑)。

もちろん、武満徹氏のアレンジは、1音1音、研ぎすまされた音使いで、前衛音楽として、素晴らしい完成度だと思います。

で、このCDのいいところは、「武満徹 ギターのための12の歌」という譜面集にある、なじみのあるポップス系の曲が、真ん中に挟まっているんですね。
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ちなみにどんな曲かと言うと。

ロンドンデリーの歌
オーバー・ザ・レインボー
サマータイム
早春賦
失われた恋
星の世界
シークレット・ラヴ
ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
ミッシェル
ヘイジュード
イエスタデイ
インターナショナル

おお、なんとビートルズが4曲も入ってます!参考にしようと思いましたが、流石に一筋縄ではいかなそうです(汗)。他も名曲揃いですね。

比較的、福田進一氏は、この譜面集に忠実に弾いてますが、福田進一の弟子である、鈴木大介氏のバージョンは、独自の解釈で展開されるています。お二人の演奏を聴き比べるのも面白いかもしれませんね。

ちなみに、村治佳織さんの「Transformations」というアルバムには、これらのうち5曲を含んだ武満徹氏の作品を収録されてます。こちらも聴いてみてはいかがでしょうか。
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で、この「イン・メモリアム~武満徹ギター作品集」中で私が一番好きな曲は、「ロンドンデリーの歌」なんですよね。ロンドンデリーなんていうから英国の曲かと思ってたら、アイルランド民謡なんですね。北アイルランドでは事実上の国歌としての扱いを受け、アイルランド移民の間でも人気が高い曲です(注 現在北アイルランドはイギリス領ですが)。様々な歌詞によって歌われ、特に「ダニー・ボーイ」のタイトルのものが有名です。

武満徹氏が編曲した「ロンドンデリーの歌」は、繊細ながらも力強い、そして絶妙なコードヴォイシング、それをマエストロ福田進一氏は、見事に再現し、昇華させていると思います。

唄ものバージョンですが、こんな曲です。サビがシビれます。

この後も6曲ほど前衛っぽいのが入っていて、全21曲、末永く聴ける良質なアルバムだと思います。

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