「While Solo Guiter Beatly Weeps」音楽ライター長澤智典氏のレヴューが秀逸!

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えー、4月10日発売の話題作「While Solo Guiter Beatly Weeps」の、音楽ライター長澤智典氏によるレビューが、webニュースや新聞等に掲載されましたので全文紹介致します。

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「10人のギタリストがソロ演奏でビートルズナンバーをカバーしたアルバム」。その名も、『While Solo Guiter Beatly Weeps』。

「10人のギタリストがソロ演奏でビートルズナンバーをカバーしたアルバム」。タイトルからして『While Solo Guiter Beatly Weeps』と小洒落ているように、ここへ記した言葉だけですでに、聞いて損のない心地好いBGM作品になると保証を得たようなもの。

もちろん、作業や移動中の背景を彩る音楽として聞いていただいて構わないし、てきぱきと仕事もはかどれば、移動の時間も、心地好い音へ微睡んでゆくうちにアッと言う間なのも事実。でも、何故そこまで人の心を穏やかに導くのか、そこが、このアルバムの良質さを物語る大きな鍵になっている。

単にガットギターで、何となくメロディーをなぞったような音楽を集めた、駅前やデパートで投げ売りされているBGM集のような感覚は、まず捨てていただきたい。ここに詰め込まれたのは、ビートルズを敬愛するプロフェッショナルなギタリストたちが、みずから選んだビートルズナンバーを、自分なりの解釈と表現力を持って深く解釈し演奏した作品たち。もっと言うなら、ビートルズの楽曲が持つ魅力に最大限の敬意を払いつつ。楽曲一番の魅力である”メロディー”を際立たせたうえで、ギター1本で壮麗/重厚な広がりや深みを与え表現した曲たちばかりが並んでいる。端的に言うなら、「一人ギターオーケストラ」たちの饗宴作とも言えようか。

この作品の総合プロデュースを担ったのが、日本人初の”ロンドン地下鉄演奏許可証”(バスキング・ライセンス)を取得。体調を崩し、療養のために帰国の途に着くまでの10年間、バスカー(地下鉄演奏者)としてロンドンで暮らしてきた土門秀明。(当時の活動の成果を集大成させたアルバム『From The Underground』は現在、iTunesで販売中)。現在は音楽の世界へ復帰を果たし、自然音とのコラボレーション作品の制作など、ギタリストとして精力的に活動している。じつは土門氏、かなりのビートルズマニア。今回のアルバムの制作は、自分と同じ「ビートルズを敬愛するソロギタリストたちを集め、それぞれに秀でた技を通し、ビートルズの音楽に深みを持った新たな光を注ぎたい」という想いから始まっている。土門氏は、時に知人の伝をたぐり。時には動画サイトなどでカバーしている人たちの演奏に触れながら、自身を含む「この人たちなら!!」というソロギタリストたちを選出。作りあげたのが、『While Solo Guiter Beatly Weeps』になる。

ここには、peacejoytown名義のもと、世界中にファンを持つフィンガースタイルプレイヤーの益田洋。リットーミュージック社から「ソロ・ギターのしらべ」というCD付き楽譜集シリーズを数多く出版している南澤大介。ラグタイムギターの第一人者,浜田隆史。現在はドイツで活動中のYuta Tanaka。ソロギターサイト”solo-guiter.info”も運営。サマーソニックから海外の音楽フェスまで様々なイベントにも出演している城直樹。谷村新司/渡辺美里/秋川雅史等のバックギタリストや、hide(X JAPAN)のトリビュートアルバム『hide TRIBUITE Ⅵ Classical SPIRITS』にも参加している谷本光。アコギ1本でTHE BEATLESの完全コピーを目指したプロジェクトも実施中の告井延隆。NHKの番組「神々の国の首都」のメインテーマも手がけているAKI。キングレコードより『カフェ日和 癒しのギターでくつろぎのひととき』など多数のCDを発売している垂石雅俊。そして、本作のプロデューサーである土門秀明が参加している。

参加陣それぞれが、様々な解釈でビートルズナンバーを表現。土門秀明の奏でた『Strawberry Fields Forever』ではリバーブの効いた深みを持った幻想的な、まるでダウナーにトリップしたようなマジカルなサウンドワールドが展開。同じく告井延隆も、『Within You Without You』を一人オーケストラとも言うべき演奏のもと、聞き手を幻惑的な空間へどっぷりと浸らせてゆく。対して、『I Saw Her Standing There』を手がけた益田洋や、『In My Life』をカバーした南澤大介は、あえてシンプルな、音の一つ一つが際立つ演奏のもと、巧みなフィンガープレイで心地好い音の風を運んでくれた。同じ卓越したフィンガープレイでも、『While My Guiter Gently Weeps』を奏でたYuta Tanakaは、叙情性讃えた泣きの演奏を披露。楽曲の持つ情緒感へ、より悲哀な色を重ね合わせていった。同じ泣きでも、AKIの奏でた『A Day In The Life』では、哀愁味あふれた中にも雄大な景観抱かせるドラマを描き出してきた。『Octopus’s Garden』をカバーした浜田隆史は、軽快な調べに心浮き立つラグタイム風ナンバーへとアレンジ。城直樹は『Help』を、まるでバンド演奏を楽しんでいるような心地好く疾走してゆく姿として表現。谷本光は『Day Tripper』を、嬉しい緊張感とテンション高く疾走してゆく演奏を用いて耳を虜にしてくれた。アルバムの最後を締めくくった垂石雅俊の奏でるたおやかな『Here,There and Everywhere』を聞く頃には、多色多彩なビートルズナンバーのフルコースに、つい表情にやけながら嬉しい満足感を覚えていることだろう。

ジャケットの遊び心も冴えているこの作品は、現状、各ダウンロードサイトやアマゾンの配信/通販。もしくは、各出演者たちのライブで”4月10日”より購入することが可能になっている。今後、販売の販路も広げていく予定。ぜひ、この作品を手にしていただきたい。

While Solo Guitar Beatly Weeps (ホワイルソロギタービートリーウィープス)
益田洋(peacejoytown) 南澤大介(Daisuke Minamizawa) 浜田隆史(Takashi Hamada) yuta tanaka 城直樹(Naoki Jo) 谷本光(Hikaru Tanimoto) 土門秀明(Hideaki Domon) 告井延隆(Nobutaka Tsugei) AKI 垂石雅俊(Masatoshi Taruishi)
Solo Guitar Records (2015-04-10)
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