「Amazing Grace」 in 庄内日本海病院(看取り)。

えー、この動画は、以前Facebookで、ちらっと紹介したのですが、ブログにも残したいと思いまして、再度アップします。

これは、昨年の11月に、酒田の日本海病院で撮られたものです。

昨年の8月に、私が赤ちゃんの頃から面倒をみてもらってた伯母さんが、自宅で危篤状態になり病院に運ばれました。その後、意識が戻らず、まったく動けない状態で、人口呼吸器等を付け数ヶ月ベッドの上におりました。

その事は、母から聞かされていて気にはなっていたんですが、私も体調不良(うつ病)で、長い間お見舞いには行けずじまいでした。伯母さんは、高齢でもあったので、いつ亡くなってもおかしくない状態だったそうです。

たまたま、11月に山形市に行く用事がありまして、山形市まで行くんであれば酒田まで足をのばして、お見舞いに行こうと思いました。

そして、11月27日に酒田に着いて、28日の午後、伯母さんに会いにいきました。

伯母さんは、酸素マスクをつけて、静かにベッドの上に横たわっていました。親戚の方の話では、病院に運ばれてから今まで意識が戻らず、植物人間のような状態だと聞かされました。

実は、病院にギターを持っていったんです。ロンドンでずっと使っていた、あのギターです。

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病院側に許可を取ろうかと思いましたが、病室の中はおそらく難しかったと思います。それで、こっそりと運び込みました。

弾けるようであれば、弾こうと思っていました。無理であればやめようと思ってましたが、伯母さんの妹さんから、「秀明(私の事)のこと待っていたようだから、是非弾いてください」と言われ、静かに数分だけ弾かせてもらうことにしました。

伯母さんには、子供がいなかったので、私を実の子供のように可愛がってくれました。パン屋で働いていたので、週末にはいつも、私のためにパンをたくさん抱えて家に来てくれました。演奏中そんな事が思い出されます。

ふと、母が気がつきました。

伯母さんの顔が動いたのです。ほんの少しではありますが、首を振ったように見えたそうです。

そしてその後、今度は、右手を上げたのです。これは、私にもはっきり見えました。「秀明、よく来てくれたね。ギター弾いてくれてありがとうね」と意思表示をしてくれたに違いありません。
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翌日の昼頃、伯母さんの妹さんから電話がありました。

伯母さんは、午前中に息を引き取ったそうです。「まるで秀明が来るのを待っていたかのようだ」と言ってました。生前「ロンドンに居る秀明のギターを一度聴きたいねえ」と常々言っていたそうです。

元気な時に聴かせてあげられなかったのは誠に残念ですが、何とか間に合って良かったと思っています。伯母さんも90歳をこえていたので大往生だと思いますし、音楽の好きな人でしたので、最期にギターの音色を聴けて、幸せな気分で天国に向かわれたんではないでしょうか。

そう思う事にします。

親戚の方が、その時の動画を撮っていてくださいました。

地下鉄のギタリスト、一世一代、入魂の「Amazing Grace」です。


病室には、患者さん用の監視カメラが取り付けられているので、私がギターを弾いてるのは看護師さん達に見えていたと思います。おそらく数分の間、見て見ぬふりをしてくださったのでしょう。まだ日本には義理人情が残っていたのですね。感謝です。

後日談
不思議な事ですが、この後から私の体調がみるみる回復していきます。そして、またギターを練習し始めます。それまでまったく弾けなかったのです。伯母さんが助けてくれたのだと思います。

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